住めば都の風が吹く

楽しいことの日記です

余談『たとえば花を愛するように』

 

3/25...言葉足らずだなと思ったので本を出した経緯の部分追記しました

 

 

第24回全国大会GSで委託頒布していただいた幸真本『たとえば花を愛するように』についての余談です。

本のあとがきに書いたことが言いたいことの全てなので、この記事は本の味わいを深めたりすることはないと思います。

後半で『たとえば花』と、前日譚にあたる『瞬き』の内容に触れます(その前に注意書きを挟みます)。

本はどちらも成人向けですがこの記事ではセクシャルな話はしないので、未成年の方もお読みいただけます。

 

 

あとがきと重複しますが、前日譚にあたる『瞬き』は幸真記念日アンソロジー『EVER GREEN』ありきの物語ということをまずお話しします。

アンソロ寄稿作「この恋はまだ道の途中」提出した後のことです。主催のうずらさんと会ったときに、あの話の数年後にこんなことあったら……という話しをわいわいしました。

そこに、個人誌の原稿にうんうん唸っていた時期、飲み屋で佐竹さんと交わした会話を足したのが『瞬き』です。と言ってもあとがきに書いたように、寄稿作とはネタ元が同じだけで別軸であり、話し自体に連続性はありません。(でも全部読んでもらえたら嬉しいです)

イベント当日私は大ポカをしでかしてさらに遅刻。腕や指が震え、睡眠不足でハイになっているというひどい状態だったのですが、隣のスペースの寿甘さんとカズミさんにたくさん助けてもらったおかげでなんとかなりました(たぶん)。

よろよろと『瞬き』を発行した翌年、お蔵入りするか迷っている後日談についてうずらさんに打ち明けたところ、本にするなら委託するよ、と言ってくれたので『たとえば花』を書いた、というわけです。

いつも色々な方に励ましや力をもらっているのですが、『瞬き』『たとえば花』に関してはあとがきでもお礼を述べたこの四人の親切あっての本だと感じています。

ありがとうございます。

 

しかし思い返すと、わいわい膨らませた寄稿作の「その後」はもっとポップでラブラブな感じでした。どこに行っちゃったんだ。再挑戦したいです。また幸真がデートする話書いていたら、ああこれか~と思ってください。

 

 

タイトルについて。

毎回タイトルが長くなってしまいます。

『瞬き』と関連しているので、

①対にする

②あえて一単語で簡潔に

③前作を無視し異なる雰囲気

など、悩みました。

春だからという理由でファイルに「花」と名付けていたので、名実ともに花に落ち着けてよかったです。

ちなみに、『瞬きのたび星が散る』はどの程度かなにひらくか迷って佐竹さんに相談に乗ってもらいました。

 

 

音楽。

ぼろぼろの出来でもとにかく書き進めないと終わらない!という状況では赤い公園ばかり聞いていました。

youtu.be

 

全部投げ出そうかな……と思った時はMONO NO AWAREの「アングル」でなんとか踏ん張る。

music.youtube.com

 

その頃なんとなくキリンジの「Drifter」に幸真を見出していたので繰り返し聞いていました。だんだん原稿の方向性も決まってきたので恩を感じています。

youtu.be

 

小沢健二「ホテルと嵐」はうきうきと心弾むような軽やかな歌で、話のトーンを保つのを助けてくれました。当初予定した話がじめっとしていたので。この曲が収録されている『球体の奏でる音楽』が音楽の喜びに満ちた明るいアルバムで全曲大好きです。

 

 

この先に本文の内容に触れた文章があります。描写の補完になるようなことはほぼなくて、ただの裏話なのでお気軽に「おわりに」をクリックしてすっ飛ばしてください。

隙間用にメモ画像を。字がすごく汚いのはご容赦ください。(サンプル部分に該当します)

メモ帳の写真。新刊の冒頭部分を思いついて手書きで書いてある。

 

 

 

 

 

 

 

 

🌼🌷🌼🌷🌼🌷🌼🌷🌼🌷🌼🌷

 

蛇足(内容への言及あり)

当初は嫉妬、暗い優越感、試し行為で流血、みたいな話を書いていたのですが、『瞬き』の方向性とは違うな?と思い、設定を3分の2ほど使いたかった設定を削除しました。

では採用できたものは何かと言うと、

・真田のエスコートの実態(実際かなり面倒くさい)

・付き合う前、俺だったらそれくらい好きにさせるのに、と幸村くんは思っていたけど、そう扱われるとやっぱり煩わしさを感じる

・真田が会いたいと言って練習場に来てくれたのが嬉しかったので今度は自分から電話する!と意気込んでいる幸村

・初デートに浮かれつつ相手は真田だからとのんびりした幸村(真田とのすれ違い。葛藤やどきどきを胸の内にとどめる思考)

・2回目するときは幸村に自分の服を脱がせてやろうとそわそわしている真田

最後のそわそわは取りこぼしたような気がします。

陰気なのかぽわぽわなのかわからない変な感じだったので、読後感が『瞬き』に近づくように調整していきました。

 

 

🌼🌷🌼🌷🌼🌷🌼🌷🌼🌷🌼🌷

 

 

 

 

おわりに

続きもののようになってしまったので経緯や裏話など長く書いてみました。ここまでお付き合いくださりありがとうございます。

最初に出した幸真同人誌『かんぺきなかたちのたましい』(長いなあ)から数年経ちますが、本を手に取ってくださる方が増えたなあとひしひしと感じています。

幸真を好きな方が増えたんだなあ、嬉しい! やった~!!!

不思議ですよね、何年経っても誰かしらそこにいて、幸真を好きでいて、その行く末を見守っているって。

 

私も読んでくれたあなたも、いずれ他の何かに心の大部分や時間を捧げるかもしれないけれど、ひとときでもなんでも、幸真が好きという気持ちが重なったのってすごくないですか?

そしてたくさんある選択肢から私の書いた本を読むことを選んでくれてありがとうございます。とても嬉しいです。

みやこ(すめばみやこ)

 

 

おまけ

 

▲タイトルに悩んでいる図。途中から花縛りが始まっている。

メモアプリのスクショ。新刊に入らなかったネタのメモ。

▲『瞬き』その後……の没ネタの一つ。

メモアプリのスクショ。新刊の終盤について。

▲苺の話は今後書きたいです。

▲目がチカチカしてたらしいです。

第24回全国大会GSお礼

第24回全国大会GSお疲れ様でした。

うずらさんのスペースで幸真の新刊、既刊を委託頒布してもらったので、当日はお会計などを少し手伝わせてもらいました。(私が不慣れなばかりに、いらした方をお待たせしたりうまく取り次げなかったりしてご不便おかけしました)

麗しの幸真と並んで店番をするの超ハッピーでした!大好き!かっこよすぎて目を合わせられなかったのが悔いです。

私が初サークル参加した全国は第16回だったので時の流れを感じます。まだ書き始めて2年目くらいのつもりなのになあ。

 

ただの手伝いなのに差し入れやお手紙をいただいたり、スペースにいらした方とうずらさんの作品良いですよね!っておしゃべりできたり、すごく楽しかったです。もちろん自分の本を手に取ってもらえたのも嬉しかったです。ありがとうございます。

以前スピーカーとしてお邪魔した「同人と幸真についておしゃべりするスペース」を聞いていた方から明るいお話を聞けたときはほっとしました(自分の発言について今も反省してうわー!ってなるので)。よかった~!

 

差し入れをありがとうございました。大切にいただきます!

(エマさんとうずらさんに当日のポスター譲ってもらったんです、かわいい!うれしい!大好き!)

エマさんの新刊の通販はこちら

https://www.melonbooks.co.jp/fromagee/detail/detail.php?product_id=2351627

(フロマのリンクタイトル表示できなかった…)

うずらさんの新刊の通販はこちら

皇帝vs神の子in BED [Ping(うずら)] テニスの王子様 - 同人誌のとらのあな女子部成年向け通販

 

左側のミッフィーとダーンの指輪はねむおさんからのいただきものです、かわいい💍

🌷🌼🌷🌼

 

サークル「すめばみやこ」の予定について。

次回サークル参加は未定です。

12月の第2回幸真プチオンリー「道行き最中に咲くダリア」(開催決定おめでとうございます🎊)も生活の設計がガタガタなので出展できるか今の時点でははっきりしてません。現地にはいるんじゃないかな?くらいの感じ。

いつイベント頒布できるかわからないので、割高ですが通販のご利用も視野に入れていただければと思います。

色々あって新刊、既刊ともに在庫は潤沢なので、タイミングが合う時にどうぞ。

(配送方法が2種類あるので確認の上ご購入ください)

匿名配送

【匿名配送】たとえば花を愛するように - すめばみやこ - BOOTH

スマートレター

【スマートレター】たとえば花を愛するように - すめばみやこ - BOOTH

 

オンライン上の活動としては今後も書けそうなときに短い話を書いていこうと思っています。

あとウェブ公開前提でいくつか8.000文字以上の成人向けの話を書きたいです。同人誌をつくっていて力不足を痛感したので練習をせねば……。

前々から言っていたずぼら視点の小説同人誌にまつわるまとめも最後まで書きたいな。何の話をどこまでするべきかわからなくて悩んでしまうので時間かかるかもしれないですが。

 

【生活の設計】

https://www.amazon.co.jp/生活の設計(字幕版)-フレドリック・マーチ/dp/B09LTHJ53W/ref=tmm_aiv_swatch_0?_encoding=UTF8&qid=&sr=

2月の色々と3月の委託について

 

まず3月の幸真本の委託について。

 

3月17日の春コミにて開催される全国大会GSで委託頒布をお願いすることになりました。

うずらさんのサークル、Pingさん(東1シ34ab)に置いていただきます。もちろん幸真スペース!

12月の道行き最中に咲くダリアで頒布した『瞬きのたび星が散る』(無配付き)と、その後日談を新しく書いてコピー本にできたらいいな……と思っています。

新刊については急に決めたので今から頑張ります。出せなかったらその時はないんだなと思ってください。

イベント前に一旦通販を閉じますが、『瞬き〜』が今回のイベントで完売することはおそらくないです。昨年の会場頒布時の無配が尽きることはあるかもしれないけど、それも在庫数と経験から言ってしばらく先のことになりそうです。

なので、『瞬き〜』も出るであろう新刊も、会場か通販のお好きな方でお手に取っていただければ。

 

春コミ当日は会場のどこかしらにいますが、それ以降のイベント参加は未定です。

12月1日の第2回幸真オンリーも会場にはいるかな、という感じです。

(今すぐサークル参加申し込みをしたい気持ちはやまやまですが、来月の見通しも立たない生活なので……)

 

というわけで書くと言っていた小説同人周りのまとめは書き終わるまでもう少しかかります。今すぐ小説同人誌出したくて何か聞きたいことある方は直接ご連絡ください。できる範囲で協力しますので。

 

🌷🌼🌷🌼 

 

ここからは2月にあった楽しいことの振り返りです。

 

2月は本も読んでなければ映画も見ていないなんだか空白みたいな月でした。

友人と会ったときだけ時間が息を吹き返すというか。

ずっと体調は悪かった。

 

1月の末のことだけど、久しぶりにとばりさんに会いました。

美術館(?)で展示を見ずに売店をうろうろしたり、喫茶店をめぐったり、近況や幸真の話をしました。楽しかった〜!

帰りに大好きな叔父が迎えにきてくれたのも嬉しかった。

(写真は、私が味で選んだらとばりさんに「立海好きとしての自負があるんだね」と言われたオレンジソーダと、とばりさんのバタフライピーソーダ

 

これは、雨の丸の内で撮った『SWALLOW’S BOX』(里つばめ先生)の表紙の聖地(たぶん)です。

私が本を忘れてごにょごにょ言ってる横で友人が「雨の方が風情あるよ!」と励ましてくれて優しかったな。

地図が読めない2人でぐるぐる歩き回ったのが楽しい1日だった!

bs-garden.com

 

2月と言えばムのプチがありましたね。

私にとってムは初めて一般参加した日からずっと元気をもらえるパワースポットです。

何かを作り出したり好きを表明したりするエネルギーがきらきら輝いて見えるようで。

時折めげたり投げ出したくなるけど、書くことをやめないでいたいと思わせてくれる。

帰りにうずらさんとお茶をしてネーム作業を見せてもらいました!すごい!物語が生まれるところに立ち会えてどきどきしました。

 

友人全員に言えることですが、私が一方的に憧れていたり仲良くなりたいと思っていた人たちが今、友達として私に気を許して笑いかけてくれるってすごく不思議な感じです。

いまだに帰り道は混乱と喜びでうわー!と叫び出したくなる。叫ぶと迷惑になるので人のいない隙に夜道でくるくる回ります。すぐ酔っちゃうけど。

 

 

本読んでなかったとか言ったけど、そう言えば漫画は門地かおり先生再読月間でした。

色っぽい描写とときめきを両立させる見せ方が大好きです。それでいて、ダークな、不穏さとか不健康な結びつきの持つドロっとした空気感を描くのも上手い!

 

高校生の時、門地かおり作品に魅了されて、著作を一気に読んでその勢いのままファンレターを出したなあ。

それに比べて最近は、きちんと文章を書かなくちゃ……という意識に苛まれて感想を書くことから遠ざかっていました。

好きだから伝えたい!くらいの気持ちでのぞんでもいいのかな〜。いいかな。

1月に読んだ本

今年に入ってから読んだ本の話

アドリアン・イングリッシュシリーズについてのブログを書くため番外編含む全巻がぱっと読めるKindle Unlimited に加入したので、それもあって今月は色々読みました。

(しかし何を読んでもAmazonはガザのことが頭をよぎるので解約しようかなと思っています……)

 

 

以下、読んだ小説のリストです。

 

『月への吠えかた教えます』

『ヒトの世界の歩きかた』

『星に願いをかけるには』

『すてきな命の救いかた』

『狼と駆ける大地』

/イーライ・イーストン著、冬斗亜紀訳(モノクローム・ロマンス文庫)

『BOSSY』

/N・R・ウォーカー著、冬斗亜紀訳(モノクローム・ロマンス文庫)

『ドラッグ・チェイスシリーズ(1)還流』

/エデン・ウィンターズ著、冬斗亜紀訳(モノクローム・ロマンス文庫)

『キットとパーシー』

/キャット・セバスチャン著、北綾子訳(すばる舎プレアデスプレス)

『ボーイフレンドをきわめてみれば』

/ライリー・ハート著、冬斗亜紀訳(モノクローム・ロマンス文庫)

 

全て翻訳M/M(男性同士のロマンス)です。

翻訳者の冬斗亜紀先生の訳文が好きなので、先生の訳書中心。

 

『月への吠えかた教えます』(原題:How to howl at the moon )を始めとする月吠えシリーズは、ヒトに変化できる能力を得た犬たち"クイック"が暮らすアメリカの田舎町を舞台にしたとにかく優しくて可愛いお話です。なんというか、読み終わった後に「良い話だったなあ」とほうっと息がつけるタイプです。

ファンタジックな設定と現実に接続した描写のバランスが面白い。

犬を飼っているので、ヒトになった犬たちがチョコミントシェイク飲み出したときはハラハラしました。(犬にチョコレートを与えてはいけません)

 

『BOSSY』は昨年完走しきれなかったので、頭から読み直しました。

お金持ち(しかも努力家!えらい)がいっぱい出てくるオーストラリアのBLです。とにかく景気が良い。都市型高所得者の解像度が上がります。

優しい世界観で、嫌なやつとかヒネた発言が出てこないので、癒されたいときにいいかも。

 

『ドラッグ・チェイスシリーズ』の1巻は、原文の文体の特徴なのかな、リズムが掴みにくくてはじめは読むのに苦戦しましたが、半ばからグルーヴ感と魅力的なキャラクターの勢いにぐいぐい引っ張られて楽しく読むことができました。

私の印象ですが、作者の筆が乗っている場面が結構わかりやすくて、ここが書きたいのかな?と伝わってくるところが良かった。

ちなみに昨年、7年ぶり(!)に邦訳版の2巻が出版されたとのこと。気になってレビューを覗いてみたら、7年の間に待ちきれず原書でシリーズを読破した方々が邦訳を歓喜してしていてほっこりしました。

 

『キットとパーシー』1800年代のロンドンを舞台にした盗賊と貴族の陰謀と恋。キャラクターの造形が秀逸。

脚の怪我により盗賊業から引退したキットは、粗野でありながら真面目。人を愛したい心と大切な人を失うことへの怯えを胸に生きています。

対して、侯爵(公爵の息子)パーシーは思いやり深く、血を見るだけで気絶しそうになるほど臆病ながらも大胆にして奔放(主に性に)。

一見相反する性質を持った2人が心を寄せていく過程が素敵でした。

 

『ボーイフレンドをきわめてみれば』は、一読をおすすめします。極上のロマンス。「あなたを信じる」に丁寧に向き合った話です。

1ページ目の著者の言葉を引用します。

世の中になじみきれない、これはあなたのための物語。

主人公マイロは自閉症です。ロマンスの主人公が神経多様性者(ニューロダイバージェント)なのも珍しいし(他にも読んでみたいのでおすすめあれば教えていただけると嬉しいです!)、それを乗り越える障壁でなくマイロを構成するものの一つとして扱っている作品と翻訳版のプロモが好き。

マイロは24年の人生をかけて、自分の向き不向き、できることできないことを見極め分類し、生きる術を学んできた人。どうしてもままならないときもあるし、心ない扱いを受けることもあるけど、害意やすれ違いで傷を受けてもけっして自分自身の価値を見失わない。

マイロと惹かれ合うギデオンは、マイロの細かなこだわりや性質も含めてマイロであり、だからこそ自分にとって特別だと感じます。

とある場面で、予測しうる苦しみからマイロを守ろうとしたギデオンと、たとえ傷つくとしてもそれを選択する自由が自分にあると考えるマイロがぶつかるのですが、彼らは一方の意見に寄るのではなく対話で解決するのです。

全ての人がマイロのように秀でた分野があったり家族のサポートを受けられたり運命の相手と出会えるわけではないけど、自分のできる範囲で努力を積み上げ、誠意を持って人と向き合うことがもたらす明るい面を伝えてくれる1冊です。

 

 

漫画もとにかく色々読みました。

Kindle Unlimitedだとやっぱり、『ののちゃん』などを描かれたいしいひさいち先生が同人で発表されている『ROCA』がおすすめです。(紙版もイベントや通販で購入できます)

ポルトガルの歌謡ファドを極めるために突き進むおっちょこちょいで大雑把なロカちゃんと彼女をどやしつつも陰日向から支える同級生柴島さんの物語です。

女と女の物語が好きならとにかくこれを読んでほしい。

 

あと何故か『GAPS』シリーズ全5巻のうち2巻『GAPS risky days』だけがunlimited入りしていたのが面白くなって、里つばめ先生作品を再読しました。

『GAPS』は王子系年下クズ部下攻め×シゴデキ常識人おじさん上司受けのサラリーマンBLです。

攻め・片桐のクズさが一風変わっててくせになる。

複雑な家庭環境とか胸が痛む過去もなく、ただのクズ(というかむしろ多方面に非常にだらしない人)。新感覚年下クズ攻めですよ、彼は。

面白いのが、片桐は表の面を保つために特に無理してるわけでもなく、仕事熱心で、真面目な上司(受けの長谷川さん)を尊敬する気持ちもある。

 

あと! 里作品は毎話必ず帯や宣伝文に使えそうなパンチラインがあるんですよ!すごすぎ。

他にも独特のトーンワークとか映像作品みたいな画面構成とか思い切りのいい仕事描写とか色々話したいことはあるのですが長くなっちゃうな。

つくづく好きだと思うのは『GAPS』シリーズ、萌えるのは『俺が好きなど嗤わせる』です。

 

 

今回たくさん翻訳小説を読んで、原書の文体と読者の相性と同じくらい、訳文と読者の相性も読み心地に関わるなと思いました。

些細なことですが、

「〜〜でない。」とするか「〜ではない。」とするかでもかなり読み手の受けるものが変わると思うんです。

また、翻訳小説をあれこれ読んでいると、どんな原文からこの文体、口調へ翻訳されたんだろう!?という興味も出てきます。

複数の言語を理解できる、操れるということは、その数だけ世界を見聞きできるということなのだろうなあ。

 

『キットとパーシー』『GAPS』が好きなのは、物語を通してキャラクターの多面性を垣間見ることができるからかもしれません。そういうときすごく嬉しくなります。

いい奴だけどむちゃくちゃ腹立つことも言うとか、可愛くてぽわぽわしてるけどしたたかとか、いつもひねたジョークを飛ばすけど心のうちは不安に苛まれてるとか。

 

そんな感じの1月の読書でした。

寒いので『闇の左手』を再読して2月を迎えたいと思います。

輝ける人々(と成仏)

テニミュ4thの関東立海公演が幕を開けましたね。

おめでとうございます。

長い公演時間と巡演の中で誰も欠けることなく、もっと言えばスタッフ、キャスト全ての関係者が健やかに千秋楽までまで駆け抜けられますように。

 

現地で4th関立を見ることができないのであまりツイッターを見ないようにしているのですが、観劇する皆さんにとって今回の公演が楽しくてわくわくするものであれ!と思います。

みんなが楽しく過ごしてるのを見るの大好き!

テニミュで盛り上がるタイムラインって楽しい!

 

私にとって1番鮮烈な公演は3rd全国大会立海前編です。

東京凱旋公演が初テニミュでした。

友人がチケットをとってくれました。

その年、私は急に演劇が嫌になってしまって(というか嫌な記憶と演劇が結びついてしまって)、劇場まで向かう最中に体調を崩してはチケットを紙切れに変えることが続いていたので、当日TOKYO DOME CITY HALLまで辿り着けたことにすごく安堵しました。

 

幕が上がっても気持ち悪くなったり冷や汗が出てこないことにほっとしました。

頭の中で考えが空転して余計なことを思い浮かべたり、せっかくの生テニミュに心が醒めないことにもほっとしました。

それどころか私の目は舞台上で起きている全てに釘付けでした。

みんながみんな、舞台の上で、その時間は役として精一杯生きてくれていることに強く胸を打たれました。

青学を応援しながらも、立海の連帯に心寄せて、どきどきはらはらしっぱなしでした。

体はあの柔らかい背もたれと硬い座席にぴったり固定されているのに、心だけがふわふわと肉体を飛び出して自由に観劇する喜びを感受しているような、不思議な心地をよく覚えています。

 

その中でもとりわけ目を奪われたのは3rdの真田弦一郎くんでした。

その頃は原作(まだ無印だけだったかな?)を読み終えたばかりで、格別に真田くんがとってもとっても好き!状態だったので、目で追っていたのですが、どうしてか彼の周りだけ周囲が淡く発光して見えたんです。

面白かったな。人が光って見えたんですよ。

照明があたっていないときもそうでした。試合中ではない、ベンチにいるささやかな仕草であっても光り輝いて見えたのです。

淡い光をまとった人を見ながら、頭の中で「報」と書かれた電光掲示板がパッとあらわれて真っ暗な闇の中くるくる回転するのを感じていました。

嫌な感情やここまで抱えたつらい気持ちは今日この場で報われる!精算されるのだ!と思ったら涙が頬を伝い落ちていました。

泣いていることを友人に気がつかれたくなくてとにかく急いで拭ったりなんかして。

 

どの人にとっても初めて見たテニミュの公演はかけがえのない思い出だと思います。

私にとってもそうでした。

その後にどれだけ素晴らしい作品、どれだけ楽しい公演に出会っても、あの時の観劇体験以上に色濃く胸に刻みついたものはないです。

他が劣っているとかそういうことではなく、ただ特別なのです。

 

 

テニミュ好きの間では、過去公演に強く心奪われた人たちのことを「亡霊」と呼ぶことがあります。自嘲してそう名乗る方もいます。

私は3rdシーズンを好きになって間もなくお別れとなり、終幕を悲しむこともできず、新しいシーズンを両手を広げて迎えることもできず、けれど新テニミュ4thも楽しくて、という心もとない気持ちで過ごしてきました。

でも大好きな立海が新しい形で沖へと漕ぎ出すこの機に、楽しい思い出を振り返って成仏したいと思います。

 

あの時舞台の上で役の人生を生ききってくれてありがとう!

楽しい時間をありがとう!

 

 

当面の目標はテニミュに通えるようになるため健康になることです。

頑張れ負けるな健康観劇!(GMKK

 

本日はご覧くださり、誠にありがとうございました!!!

ミステリこそが人生なのでは? ——電子半額フェア中だしアドリアン・イングリッシュシリーズを読んでほしい話

 

 

ミステリが人生を彩るスパイスなのではなく、むしろ人生そのものがミステリ——大きな謎——なのでは?

 

というわけで、ミステリロマンスの金字塔アドリアン・イングリッシュシリーズのおすすめをしていきます!!!

 

 

【要旨】

海外BL小説専門レーベル、モノクローム・ロマンス文庫が創設10周年記念の電子50%オフフェア中なので、『天使の影』から始まるアドリアン・イングリッシュシリーズを読んで!

ノロマ10周年フェア期間 :

 2024.01.04まで

(現12/29)

 

AmazonKindle

Unlimited入会してると番外編まで読み放題らしいです

 

honto

アプリの使用感が結構好き

定期的に配布されるBL全商品25%OFFとかいつも何やらで配布される20%OFFクーポン等各種割引を併用可!

honto.jp

こっちはスターターパックの全5巻セット。番外編『So This is Christmasは含まれていないけど、1巻売り・単話売りもあります。

honto.jp

翻訳小説は厚みや価格でハードルが高いので、お求めやすい機会に挑戦してみてほしい!

 

 

訳者の冬斗亜紀先生が出版前にご自身のサイトでシリーズについて書かれていた記事が入り口として素晴らしい名文なのでそちらのリンクも。

slashreading.blog23.fc2.com

 

 

 

目次

  • アドリアン・イングリッシュシリーズ】
  • 【登場人物紹介】
  • 【各巻あらすじ】
  • 【魅力①】焦れったい関係性
  • 【魅力その②】文章がうますぎる
  • 【挿絵その③】装画・挿絵
  • 【まとめ】
  • ※注釈※

 

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余談『瞬きのたび星が散る』

 

 

 12月17日の新刊に関する個人的な振り返り記事です。

 あとがきに書いたことが新刊に関してどうしても言いたいことの全てなので、本文を読むのにプラスにもマイナスにもならない(たぶん)個人的なメモとかこぼれ話になります。

※本は成人向けですがこの記事は18歳以下の方でもご覧いただけます

 

 

 プレイリストです。

https://music.apple.com/jp/playlist/%E6%96%B0%E5%88%8A/pl.u-6mo4l9LHKDy98v5

 

Something About Us/ダフト・パンク

LADY/米津玄師

Late Night Talking/ハリー・スタイルズ

Glide(cover)/Mitski

愛について/スガシカオ

雷が鳴る前に/槇原敬之

ろっかばいまいべいびい/ティン・パン・アレー

ろっかばいまいべいびい/細野晴臣(HOCHONO HOUSE)

シンシア/原田知世

僕の心のありったけ/キリンジ

君に、胸キュン-浮気なヴァカンス-/YELLOW MAGIC ORCHESTRA

(敬称略)

 

 私は音楽を聞きながら書くことができないので、どうしてもパソコンを起動させたくないときや表紙や奥付けを作るときのやる気出しに再生していました。

 選曲に深い理由はなく、幸真イメージとかでもなく、原稿で気が立って過剰にイラついていたので、聞いていて落ち着けるものを思いついた端から登録しました。

 経緯の割にはそれらしいプレイリストになった気もします。いや、曲たちの持つ普遍性や余白が素晴らしいだけですね。

 でも、原田知世さんの「シンシア」だけはずっと幸真のことを思い浮かべる曲です。

 気分で選んでいるので別の原稿に取り掛かっている時はこれらを聞いても鎮静や発奮に繋がらないんだろうなあ。

 

 

 

 内容について。

 1217日発行の幸真記念日アンソロに寄稿した話では幸真の関係を「恋人」と明記したので、もっとシームレスな関係も書けないかなと思った記憶があります。

 何になってもいいと思います。何であっても。何にならなくともいいし。でもその気になれば何にでもなれる2人であってほしい。

 新刊では「恋」や「愛」と明言しないよう(徹底は難しいので台詞はなるべく)意識を払いました。

 だとしたらもっと他の描写に力を入れたりページを割くべきなんですよね。反省点の一つです。

 

 

 

 レイアウトの関係でページ数はきゅっとしてますが、私が書いてきた話の中では一番文字数が多いです。

 だいたいの場合、書きたいものとざっくりした流れがつかめると何文字くらいで書けるか予想がつくのですが、そういうざっくりしたやり方がカツカツのスケジュールで裏目に出ました。

 短い話(私の中での「短い」です。8005000字程度)では書き進めながら話を決まるのですが、そのやり方では長い話だと体力が続きません。長い話を書き慣れてないので段取りを決めるのが大変でした。

 これは書き始めの作中の時系列です。

 ひどい。

 さすがにこれでは書けない。というか頭の中で細々した部分を管理するのは限界です。ここから枝葉を足していきました。

 このやり方のなんと効率が悪いことか!

 小説の書き方がわかりません。自分が書いてるものが小説のていをなしているのかもわかりません。小説ってなんなんだ。

 

 小説に限らず物語を作る上でプロットとか本文について「これで勉強してるよ!」「これがやりやすいよ!」というものがあったらぜひ共有してください。勉強したいです。

(と言いつつアーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室』を二年ほど寝かせています)

 

 

 

 悩みというほど深刻でもないですが、また幸真本に長いタイトルをつけてしまいました。

 

・かんぺきなかたちのたましい

・砂糖でもなく塩でもない

・イン・アザー・ワーズ

・常勝ハートで萌え燃えギュン

・瞬きのたびに星が散る

 

 常勝〜のイレギュラー感。

 

 

 

 来年は同人イベント参加の予定はありません。

 もしかしたら委託などお願いするかもしれないけど絶対ではないですし、新刊は用意できそうにないです。

 第二回幸真オンリーが開催されたら出たい。這ってでも出るとか言いたいところだけど、這ってたどり着いたとて……という現状なので。

 二次創作は続けるつもりです。幸真もそうでないものも色々書きたいなあ。

 

 最後に、記事を読んでくださったあなた、本を手に取ってくださったあなたに、お礼を申し上げます。

 至らない部分も多いですが、幸真を好きという気持ちは込めましたので、新刊に何か響くところがあれば嬉しいです。

 たまたま(本当にたまたま。行きたくても原稿中は現地に行く余裕がありませんでした)コスモワールドのそばに行く機会があったので。