住めば都の風が吹く

楽しいことの日記です

幸真オンリーありがとうございました

 


 
Dozen Rose FES.2023内、幸真オンリー「道行き最中に咲くダリア」、お疲れ様でした。

 スペースにお越しいただきありがとうございました。差し入れをいただいたことや、お話ししてくださったことが、私にとってどれだけ嬉しいことかきっと伝えきれないでしょう。それだけ嬉しかったです。

 



 自分の好きなカップリングのオンリーが開かれるのが初めてで(少なくとも自分が活動している間)、当日も現実味がわかずふわふわした心地で過ごしていたのですが、何もかもが楽しかった!



 思い返しながら書いている今、号泣しています。

 子供の頃から良いことがあると次の日にバチが当たるに違いない! と思っていたので、飽和するほどの楽しさがこわい。

 



 泣きながら、幸真を好きになってからの色んなことを思い出しました。

テニスの王子様』を好きになってから四年経ちますが、五冊の本を出すことができました。飽き性なのでこんなに一つのこと、二人の人物について考え続けたことも書きたいと思ったことも今までにない経験です。

 初めてのことがいっぱいありました。

 

 

 同人を通して大切な友人を得たこと、表紙・ノベルティを描いてもらったこと、特殊装丁で本を作ったこと、文章でアクスタを出したこと、同人のために遠征したこと、フォロワーとしたたくさんの通話のこと、幸真スペースのこと(あれまたやりたいですね、楽しかったから)。

 

 

 絶対仲良くしたいと思ってたフォロワーをガン見してたらたくさん話しかけてくれたこと(悪質行為と紙一重なので以来二度としてませんからね)、大好きな方が自分のこと知ってくれててしかも本買いにきてくれて「認知されてる!」って本人の前で絶叫したこと、体調悪かった時に幸真のコス合わせに招待されたからなんとか耐えられたこと、私がどんなに落ち込んでても書いたもの引用して褒めてくれる人がいること。

 

 

 学校のレポートを書いてる友達の真向かいで同人誌書いたこと、新刊の構想を話したら「誰がそんなもの読むの!?」と言われたこと(初めて出した幸真本『かんぺきなかたちのたましい』のことで、あやふやな関係だった幸真の真田が女性と結婚し、それで幸村が思いを自覚する話です。そりゃそうも言われる)、そんなことを言っても原稿(『イン・アザー・ワーズ』)がぎりぎりの時には校正などで手伝ってくれたこと。

 

 

 私がのんきに「同人誌出そうよー!」とかへらへらしてたら、本当に本を出して創作が楽しいと言ってくれた人たちのこと!

 

 

 あとアフター! 誰かとアフターに行くのも夢だった! 叶っちゃった、いいのかな。

 

 どの程度ぼかすべきかわからずここに書ききれない思い出もたくさんあります。

 全部嘘みたい。私の身に起こったこととは思えない。でも本当なんだ、すごいなあ。

 

 

 

 同人、何年やっても慣れない。難しい。これだ! と思える瞬間はいつまでも訪れないし、満足できる落とし所も見つけられていません。いつも己の失態にうんざりします。何冊出しても上達しないし、ミスはするし、誤字は見逃すし、ひどいできのサンプルで告知してしまうし、開場に間に合ったことほぼないし。

 でも楽しかった。どれだけ後悔が多くても楽しいは別個でしっかり存在しています。

 

 

 

 ここまで書いてようやく泣き止みました。

 しばらくサークル参加できないので、ここで本を出すという活動を一区切り、という心持ちでした。幸真オンリーで節目を迎えられてよかった。

 目を閉じたらまだ西2ホール・の列の机の前に座っているような錯覚がして、喧騒もシャッターの向こうから差し込む光の明るさも、うっすら寒いのも蘇ってきました。こわ。焼き付けすぎた。

 

 

 

 最後に。

 何かを好きって発信したりかたちにすることを私は素晴らしいと感じるけど、べつに声に出さなくてもいいと思っています。

 たとえば私は持病の症状しだいでものすごく前向きに物事を捉えられることもあれば、それまで全力を傾けていたものを簡単に大嫌いになったりささいなことで避けてしまうこともあります。

 ずっと同じ温度や高さで好きを維持するのはなかなか容易いことではない(それを意識せずできる人もきっといはするだろうけど)。し、そうしなきゃいけないわけでもない。

 歴が長いとか愛が深いとか拙いとか達者だとかしんどいとか病気とか泣いて感動するとかしないとか、そういうこと関係なく、というか含めて、幸真越しに誰かの一生のうちの数分でも数時間でも重なったりするのってすごいことです。

 一回でもちょっとでも(書/描くとか縫うとか纏うとかなるとか造形するとか作るとか焼くとかこねるとかデコるとか読むとか見るとか呟くとか好きになるとか、なんでも、本当になんでも)心や時間の一部をどこかに向けた人たちが束の間すれ違って微笑みをかわせるっていうのは奇跡のようですね。

 それが私にとっては幸真でよかったです。

『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』にハマる

 

【今回の内容】

①グッドオーメン2配信で盛り上がる

②出演者の過去作ドクター・フーにハマる

ドクター・フー主演俳優が気になる

④出演作ハウスオブザドラゴンにハマる

 

 これだけのことなのにずいぶん長くなってしまった

 

 

 

 8月はほとんど毎日Amazon prime配信ドラマ、『グッド・オーメンズ』の2シーズンのことばかり考えて過ごした。

 

【黙示録に記された世界の終わり、ハルマゲドンが着実に迫りつつあった。ともに地上勤務の天使アジラフェルと悪魔クロウリーは協定を結びなんとか対抗策を講じるのだがうっかりにより失敗。サタンの息子アダムは覚醒へと進んでいく。】

(勝手に私が書いたあらすじ)

 

 グッド・オーメンズ自体非常に面白いドラマで、2019年の配信から間もなく私は虜になった。それから色々あって情報に疎くなっていたところに2023年の新シリーズの報せ! シーズン2にもすっかり魅了された。

 世界の危機をなんとか乗り切った天使と悪魔がお互いの過去を振り返りながら天上と地獄のごたごたに巻き込まれていくハートフルな仕上がりとラストの息を呑む展開に心掴まれてもうその他のことは考えられないよ!

 日々グッドオーメン2のことを考えていたがそれが中断されたのは病気のせいだった。年に何回あるかの不調で通院ができず薬がきれ体調は悪化し……という惨憺たる悪循環に陥ったのだ。

 

 

 

 鬱々とした状態の中私はグッドオーメンズの主演の一人デヴィッド・テナント氏の代表作であるドラマ『ドクター・フー』を見ていた。(何かを一気見したかった。消費活動に走ったのだ。)

 種族の生き残りであらゆる宇宙の知識を司る900歳の宇宙人ドクター(電話ボックス型タイムマシンを操る)と、彼の時空や星時には次元を超越する旅に付きそうコンパニオンたちのめくるめく冒険譚である。

 長い話数をかけて育まれていくドクターとコンパニオンの信頼関係も見所の一つであり、見進めるのということは一つの時代が終わるということであった。

「見るなら最初から!」とテナント氏以前のドクターから見始めたので、1話からずーっとドクターに寄り添っていたローズという庶民派で好奇心に満ちた少女を私は好きになっていた。

 よって「何か起きるよ〜」という不穏な回より先を見ることができなくなり、次代ドクターに逃げた。

 ドクターというのは秘伝のタレみたいなものだ。種族の仕様で死に瀕した際新しく体が作り替えられる。それによって蘇生というか延命する生物なのだ。タレではないな。

 10代目のテナント氏からバトンを渡されたのが11代目マット・スミス氏だった。

 私は10代目の細身の体と飛んだり跳ねたりする動き、全身どころか顔のあらゆるパーツで感情を表現する好きだったのだが、このすらりとした11代目の風変わりでなんてことない顔で突拍子もないことをしでかしコンパニオンを戸惑わせたりする姿にも心を惹かれた。

 

 

 

 ドクター・フーを見ていくうちにスミス氏の出演作をもっと見たくなり、近年は映画で悪辣な役を演じているという経歴を知った。確かに、数年前に見た映画「モービウス」で演じたヴィラン、マイロは見事だった。なんかこう、グッときた。大病により健康な肉体への渇望から悪の道に傾いでしまった彼の歪さや奇妙なチャーミングさは記憶に鮮明だ。

 

 そんな彼が武勇に秀でた残忍な王子を演じるドラマがあると知ってもうたまらなくなった。

 しかもそれが『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』なんて! あの『ゲーム・オブ・スローンズ』の前日譚!

 ゲームオブスローンズ、略してGoT、日本だとゲースロで有名かもしれない。

 ざっくりいうと中世ヨーロッパ風の架空の王国、七王国ウェスタロスの玉座が突然空位になったことにより正義や欲望をたぎらせながら群雄割拠の戦乱ダークファンタジーだ。

 

 すごくどうでもいいけどゲースロにハマっていた時も体調不良だった。

 あと渡英した時好きなドラマですと言ったら「あー名前だけは知ってるよ」と現地の人に言われた。(一緒に並べた『SHERLOCK』もそんな感じで、SHERLOCKだぞ!?嘘でしょ!?となった思い出がある。じゃあ何なら伝わるんだと思ったら『ダウントンアビー』については会話のラリーが続いた。)

 そんなことがあった当時ゲースロはHuluで見られたのが今はゲースロも関連作もU-NEXT独占配信となっている。それが今回私を悩ませることとなるのだが長くなっちゃったから一回終わらせます。

 

 

 ハウス・オブ・ザ・ドラゴン(HOTD)のスミス氏の演技がすごく好きなんだよ〜とか(ビジュアルもすごい、プラチナブロンドの長髪をハーフアップにして先祖伝来の剣を振いドラゴンに跨る。盛り盛り)色々書きたい。書くかな。書けたらいいな。

散歩

 それにしても好きな曲や面白いと思ったドラマを人に知ってもらいたいという感情はどこからくるのだろう。

 書き終わってから思ったことだけどどこに置くべきかわからず冒頭に置く。

 

 

 持病の具合や入院もあって横になってることが多かったのだが、いきなり運動をしようという気になって夜中に散歩をした。ちょっとした躁状態かもしれない。それは困るな。

 

 流行りに疎い私だが、しかしミーハー気質でもあり、NewJeansを聞きながら黙々と歩いた。どの曲も聞いていて気持ちが良い。私にとってのすかっとした爽快さとか踊り出したくなるビートではないのだけど、目を閉じてうんうん頷いて噛み締めたくなるタイプだった。私は「Cookie」が好き。

https://https://youtu.be/VOmIplFAGeg?si=l0-Sv89HOCsVSj5v

 

 帰り道はKIRINJIの曲を流した。なんとなく気分じゃなくてずっと聞くのを後回しにしていたnestling」を聞いているうちに涙ぐんでしまった。キリンジKIRINJIになっても「きりんじ」なのだなあとしみじみした。頑張れよとかありのままのあなたでいいとか言われていないけど今日とか明日とかを生きていく「わたし」に寄り添う軽やかな歌。不要になったら風とともにどっかにいってしまいそうなドライさもある。泣きながら私はリズムに乗って道を歩いた。

https://https://youtu.be/53FB7UOn78o?si=xs7S-ofXzj-DizLG

 

 曲の区切りと合わなかったので家のそばについて散歩を延長した。そうするとぽっかりした時間が生まれてそれが嫌でまた音楽を流す。今度は藤井隆の「ヘッドフォン・ガール-翼が無くても-」、元キリンジ堀込泰行が作詞作曲した歌だ。情景を歌うことで感情が呼び起こされ音に包まれるように感じられる。豊かな言葉と音楽! 藤井さんの優しい声もマッチしていてすごく良い。

https://https://youtu.be/aTnWYblfNiY?si=xy0yS0g8N9Ehcxj7

 

 キリンジを離れてKIRINJIになった堀込高樹さんもソロ活動をせる堀込泰行さんもそれぞれのアプローチで音楽に向かい続けていて、その曲たちが違う方向から様々な人の心にすっと染み渡っているんだろうなと思った。

 

 家に帰ってからフィットボクシングを1年ぶりに再開した。一番易しいモードで。使ってない筋肉がぴきぴきしました。目覚めたらどうなっちゃうんだろう。こわー。

(柴田聡子を聞きながら書いた)

ふいに流れて嬉しい歌

 

 

 

 大体いつ頃に退院しましょうという話がついた。生活に張り合いが出るだろうということで。

 喜んだけど、あと何十日もいたくない場所にい続けるってすごくつらいと思って泣いた。大人になっても泣く。わんわん泣く。えーんとも泣いた。

 病院が悪い場所というわけではなくて(もちろん良い面もあれば悪い面というか私に不都合な面や物や人やシステムとの相性もある)、「望んでいない場所にいるしかない」という状況がこたえる。

 では私はどこに身を置けば満足がゆくのだろうか? ずっと答えが出ないし、そういうものだと思っていたけど、答えを出したい。自分のために。

 

 

 

 昔のことだ。小雨が降っている日にフォロワーが細野晴臣の「悲しみのラッキースター」をシェアしていた。それからずっと雨の日にはこの曲を聞いている。

 晴れていても悲しい時に流す。優しくて甘い声がさらさらとからだを通り過ぎる。歌詞がおいしい水のように染み渡る。

 思いがけない時に聞いても嬉しい。音楽アプリのプレイリストをシャッフル再生する機能で流れてくるとそれまでよりちょっとだけ気持ちが上向く。私はたいてい気落ちしている時に音楽を聞くから悲しみにそっと寄り添ってくれるようなこの曲が好きだ。

 なんとなく、不貞腐れている人の手を陽気な人がそっととって、くるくる踊っている光景が浮かぶ。

 

 

 

 細野晴臣といえば、はっぴいえんどにも救われたことがある。

 病気でひどくまいっていたときかすかな物音にも怯えてどうしようもなかったのだけど、なぜかはっぴいえんどの「風をあつめて」だけは聞けた。再生している間は他の音を聞かずに済むのでぐるぐるそればかり聞いた。

 頭がずっとぼーっとしていたので歌詞はわからなかった。しばらくしてから「コーヒーやで〜」といきなり関西弁になったな……と思っていた部分が「人気のない 朝の珈琲屋で」だったことに気がついた。

 そのあたりからMONO NO AWAREの「東京」も聞けるようになって、ちょっとずつ回復した。

 

 たぶん、すごく細野晴臣の声が好きなんでしょう。

やまいだれのひび

入院前にしたいことを毎日のように詰め込んでくたくたになるまで楽しみきった。これは江ノ島えっちらおっちら登ったら降りたりしたときの写真。

 

 

 入院して結構経った。結構というのはボカシ。何人くらいがこれ読んでるのかわからないが。

 健康な人もそうでない人も同じように体調の波があると思う。凪の時期に入院してしまったのと、制約の多さから身動きの取れない気持ちになり不服な日々を過ごしている。

 退院までに元気にならなければいけないのかとか、社会貢献を求められているのだろうかと勝手に心配になる。そんなこと言われてないのに。

 夏にしたいことが色々あったので全部できないんだと思うとめそめそと泣いてしまう。こらえようとしてもそれがいっそうみじめに思われて涙が出る。

 私がしたかったことなんて、観劇したり、映画を見たり、友達とおいしいもの食べに行ったり、ライブで好きな人を応援したり、そういう俗っぽくことなのだけど。

 私のしたいことは全部遊びとくくられてしまうので外出許可が降りることはない。遊びかあ。それを目標になんとか毎日やり過ごしていたきらめく楽しみたちが遊びという言葉に押し込められると悲しくなる。なんで遊んではだめなのかもわからない。

「それってもうこれきりのことなんですか?」

 あまりにも私が泣くので看護師が聞いた。

 ライブは来年も行われていくだろうけれど、周年とか〇〇歳のバースデーイベントとか、そういうのはもう来ない。数字が増えて似たような試みが行われたとしても別物だ。

 仮に私がメジャーデビュー1周年記念イベントと2周年記念イベントを同じだと捉えているとしても、これだけ泣いているんだから来年もあるじゃん! わあ、確かにそうだ! 解決! とはならないだろ。だろ、というか、ならないんですよ。

 

 一度、私の病気に(というか私にも)たいして興味のないひとから「あなたの病気は優しい人がなるものだからさ」と言われたことがある。こんな病気になるなら優しくなくていいし優しくて病気になるなんておかしいだろ……と昔のことを思い出してまたはらはら泣く。

 

 

 こうして泣いたり嫌になったりしている以外は暇で、見ようによっては悠々自適かもしれないが、快癒を期待されているような気がしてむずむずとする。退院がいつになるか決まっていないのでそれも怖い。目に見えない猶予を食い潰しているようで。

 

 

 明るくまとめようとしたけど明るい気持ちにはなれないので病院であった愉快な出来事を箇条書きする。

 

・「アニメ好き?」と看護師ににわかに聞かれなぜ? と怯えていたら『ちいかわ』をすすめられた。

「邪な気持ちなしでね、ぜひフラットな気持ちで見てもらいたい」

とのことだった。

 

InDesignの教本を1日で2日分読んだ。次の日から読まなくなった。3日坊主の時短版

 

・洗面台のすぐそばに諏訪さやか先生のカレンダーを貼った。好きな絵柄のカレンダーは心を豊かにする!

あの日たしかにそこにあったもの、見えたもの——『aftersun/アフターサン』を見て

映画『aftersun/アフターサン』がよかったよ〜! というか話と見て思い出した自分の話です。

 

 父との関係が悪化してかなりの時間が経つ。不仲というのでもない。必要に迫られたなら会うし、話もする。しかし良好な間柄といのも違う。絶対に。

 そもそも関係と呼べるようなものが私たちの間にあるのかもわからない。長いことメンタルヘルスの問題で苦しんでいた父はそれを抑え込むことができず、放出させることで他者の理解を得ようとした。父と暮らしていた当時の私はまだ10代で、そんなことできるはずがなかった。自分の人生や寛解しない持病を持て余していたから。結局は父と同じだったのだ。

 そんな風に自分のことばかり考えている人と人の間に関係なんてものはあるのだろうか。

 

公式サイトのつくりがこっていて面白いのでぜひ見てください。https://https://happinet-phantom.com/aftersun/index.html

 

パンフレットも素敵

https://https://twitter.com/oshimaidea/status/1662054968168415232?s=46

 

 

『アフターサン』ソフィという女性が、若くして亡くなった父と幼い時分に過ごした休暇の記憶を辿る物語である。

 父子が兄妹に見間違えられるほど年若い父カラムは、夏季休暇中のソフィアを気前よくトルコ旅行へ誘う。ツアーに参加したりゴージャスな飲み物を差し出したりしながら、食事は食い逃げる、少年じみた奔放な父。

 故郷のスコットランドを出て何をしているのか? どんな働きぶちを見つけたのか? 子供の頃どんな将来を思い描いていたのか?

 この父親は幼い娘に丁寧に日焼け止めを塗ってやりながらも、その問いにだんまりを決め込む。

 優しくいかにも善人らしい面と、ぐらついた危うく仄暗い面が共存していること以外、カラムのことは徹底的に明かされない。映像から見て取れる以上のことは。そう。見てとるのだ。私たちが。よく目を凝らして耳を澄まして。

 柔らかで鮮やかな色合いの過去を基軸に進んでいく映像は、きっと11歳という年相応の幼さとおしゃまな表情を併せ持ったソフィアの眼差し。

 しかし映画はカラムの優しく愛情深い仕草の向こう側にある欠点や、精神的な悩みを抱えひっそり苦悩する姿をも映し出す。記憶の中の彼と同じ年頃になったソフィアがありし夏の日焼けあとに思いを馳せているのだ。

 

 とにかく映像が美しい。そのうえひと夏の記録としてカラムがソフィアに貸し与えたビデオカメラによるざらついた映像が挿入されることによって、見る者の胸の奥に眠る懐かしさを引きずり出す。父親との心あたたまる美しい出来事の有無に関わらず。

 そして、父親であるカラムの愛情と表裏一体の身勝手さなんかも見るものの心をえぐる。

 起こってからでは遅いからと真剣な顔で不審者に腕を掴まれた時の払い方を指南したかと思えば、意に沿わないことをした娘を夜のリゾートで置き去りにしてしまう。

 

 物語の大部分は父を愛しているソフィの視点だから、そこにいるカラムはどれだけ欠点があっても娘を愛するという点においてブレがない。宿のベッドは大きい方を娘に譲り、スキューバダイビングの予約をとり、暴漢に襲われないよう護身術を教え込み、ともに泳ぎともに笑いともに食事をしともに眠る。

 愛情深いカラムの姿に「これは自分に宛てられた物語ではないな」と感じて気持ちが閉じてしまうひともいるかもしれないけれど、触れようとしてもかなわない、もう断絶されてしまったものとの間に横たわる何かが時を超えて最後にちかりとひらめくこの映画は、「あなたの話」ではなくても、あなたにも届く映画だと思う。

『アフターサン』は私の映画でもなかった。しかし見てよかったとしみじみ感じながらこれを書いている。

 

 

 

 映画館を出て帰り道に私は私の父を思い出した。ソフィにとってカラムにまつわる記憶は海や波間だけれど、私にとっては雪に覆われた山々だ。

 長野。真冬の白馬。スキー場に私たちの他どんな酔狂な客がいるのかというほどの強風としっとりと重たい雪の日だった。

 先導すると言って斜面を滑り降りた父は当然白い吹雪に吸い込まれた。

「どこー」

 と力いっぱい尋ねると、右も左もない真っ白の世界のどこかから、

「大丈夫!」

 と父の声がした。自分がどこにいるかもわからないのに大丈夫なわけはなかったが、大丈夫だと言われたから私はスキーを漕ぎ出した。雪は水気をたっぷりと含んで重く、ストックも板も沈み込むようだった。それでも私は進んだ。まっすぐまっすぐ。その先に父はいた。

1月楽しかった

2023年の1月めっちゃ楽しかった! 幸先が良い!

2月は体調ががくっと崩れて落ち込んでいるので楽しかった思い出を振り返ってアゲていく。

 

 

・高校の同期と遊ぶ

去年生ビールを飲めるようになったのでお酒好きの友人と「とりあえず生」ができる感動

 

ハロプロ初め

ハロプロのツーマンライブ「TWO OF US」のモーニング娘。OCHA NORMA

ライブ限定ユニットで大好きな澪心ちゃんが割り振られたのは、歌唱なしダンスのみを披露するグループ

彼女の魅力がいかされる場がこれからもたくさんありますように

 

テニミュ

関東大会氷帝公演開幕おめでとう〜👏

 

・終電逃した

現在地を間違えたせいで生まれて初めて終電を逃した

開き直ってゲームしていたら同じ車両に友人が乗り込んできたのでそのまま家に泊めてもらった

 

・推しカプの左右に悩む

終電で決めらんね〜ってぐすぐすしてたら「そんなに言うなら合同誌だそうか?」と慰めてもらう

ダイナミックなあやしかた! 胸をあたたかくしてくれる思い出

 

スラムダンク

映画面白かった〜! 小学生の頃に漫画を読んだ以来なので記憶がおぼろげだったのにびちゃびちゃに泣いた

 

・ケーキ

昨年末頃に誕生日だったフォロワーさんをようやくお祝いできた! やったー!

 

・チョコレート

バレンタイン催事で「キツネとレモン」のチョコレートを買った

装画が大好きな画家の西淑さんなので、箱も大切にとっておく

箱の中にはいただいたお手紙や感想フォームのメッセージをしまうつもり

 

・水族館

お友達と海辺の大きな水族館に行った

海は荒れていたけど大きな波が砕けるところは面白かったし、サメの展示が充実していて楽しかった

飼育員さんが水槽に入っているとなんとなく見入ってしまう

 

・即売会

ソシャゲにハマったのでとにかく同人誌が読みたくて即売会に参加した

国際展示場付近に設置された漢字の「花」のモニュメントをインスタグラムにのせたら数年ぶりに高校の同期から連絡がきた

オタクはオタクに惹かれ合うのだなあ

 

・高校演劇

島根の分校、たった4人の演劇同好会に密着したドキュメンタリー『走れ!走れ走れメロス』に感銘を受けた

未配信・未販売だが、3月に「下北沢トリウッド」で上映するらしい

これが予告

https://twitter.com/runmelos_k/status/1601874430304681986?s=46&t=B8cn9oleKRxDoONKDLiu9Q

 

映画館のページ

https://tollywood.jp/news/a0c0c8b1-7d0c-4f6b-ab8b-f4c4e3900a3d

 

本人たちも東京で上演するらしいのでリンク

(アカウントは作・演の顧問の先生のもの) 

https://twitter.com/kameo1995/status/1623068237742358529?s=46&t=L70aUFTbBd_G7YldllI0IA

 

・ネイル

爆裂にかわいい爪にしてもらったので無闇に写真を撮ってしまう

好きなキャラのスマホケース柄にしてもらったんだけど、画像を並べてインスタに載せていたら普段は反応のない人からもリアクションがあって面白かった

やはりオタクはオタクに惹かれ合うのね

 

・『魔法使いハウルと火の悪魔

金ローを見逃したので本棚を漁って原作本を読んだところ再熱

児童書として出版されたのに主人公の恋の相手(ハウル)が・部屋が汚い・うぬぼれや・臆病・確かなことを言わない・女たらし・飽き性などめちゃくちゃでおかしい

固定観念から解放される人生の素晴らしさは描くけど、ありのままを愛せよとは言わない作風が好きだ(ハウルは髪も染めるし顔をよくみせる魔法も使うし服には異性を夢中にさせる魔法がかかっている)