今年出した同人誌を振り返ろうと思う。
内容にはあまり触れないので、本の裏話的なことはほぼない。
『イン・アザー・ワーズ』
イベント:全国大会GSΩ2022(5月)
印刷:コンビニプリント(セブン)
幸真
……セブンのコピー機は小冊子モードがあるので助かる。紙切れを起こしまくるいたたまれなさから5軒ほどセブンを梯子した。
刷った分が会場で完売したのが初めての経験でものすごく嬉しかったし、求めてくれる人のために数を用意できなかったことが悔しかった。これからは多めに刷ろうかな。
タイトルはシナトラのFly Me to the Moonの一節In other words(言い換えると)から取った。月に連れてってとか色々おねだりするのは言ってみればあなたを愛してるってことだよ、みたいな曲だ。
伊豆に行こうと幸村がわがままを言う→私をスキーに連れてって(映画)→私を野球に連れてって(映画)→Fly Me to the Moon(曲)という連想ゲームから生まれたタイトル。
『希望の朝だ』
イベント:全国大会GSΩ2022の無配
印刷:コンビニプリント(A6かA7の折本)
幸真
……『イン・アザー・ワーズ』冒頭に登場するエピソードの幸村視点。
タイトルは「ラジオ体操」から。素晴らしい歌詞だ。
書いたことをすっかり忘れていて、先日(12月18日のイベント)で既刊頒布中にこぼれ落ちたのを見て書いたな!と思い出した。その割には良い話が書けている気がする(今読み返した)。
『常勝ハートで萌え燃えギュン♡』
イベント:全国大会GSΩ2022夏(8月)
印刷:プリントオン
幸真
……カッティング加工
表紙を人に頼んだのも初めてだし、特殊装丁も初めてだしで特別な一冊になった。特別な一冊がメイドカフェパロディ本でいいのか?
表紙とコンセプトの合致や内容の奇抜さから反響の大きかった本で、「モブを応援した」とか「変な本また出してよ」など声をかけてもらえたのが面白かった。
同人誌を出す楽しさをしみじみ感じる本だった。余裕持って原稿進められたし。ギリギリの入稿は心身に負荷がかかる。
『ハッピー・ハッピー・アイスクリーム』
イベント:さわやかマルシェ(10月)
印刷:しまや出版
リククリ
……リククリに再燃してエッチな本が出したい!という衝動だけで出した本
しまや出版さんのオールネオンピンク印刷が使えて満足。
しまやさんは優しいので表紙の図柄のズレの微調整から背面の四角の位置を中央に寄せるという本来なら入稿側がやらねばいけないことまで面倒を見てくれる。
『あすはよきひと』
イベント:さわやかマルシェ(10月)
印刷:ブロス
リククリ
……ずっと使いたかったマーメイド(水彩画用紙に使ったりもする)を表紙にできてよかった。
「明日からやる気出す」じゃないけど、「明日には良いやつになってやってもいいかな」くらいの姿勢のクリフを書きたかった。
ありのままの姿を愛し合うのも素敵だけど、誰かの望む自分でありたい、という、見栄じゃないけどそういう気持ちも愛の尊い面だと思う。
『シンシア』
イベント:第20回全国大会GS(12月)
印刷:コンビニプリント(セブン)
幸真
……無配
イベント前日に、新作が置けない自分の遅筆さに焦りを覚えてゼロの状態から捻り出した。その際、最近リリースされた「シンシア」堀込泰行さんカバー版(原曲では原田知世さんが歌唱)をガンガン流して案出ししたのでタイトルを拝借した。
11月に幸真についてガッツリ語る機会があって、その時普段幸真で活動してない友人が「幸村くんの心音を確かめる真田」に萌えると話していて、そうか〜なら書くか〜と書いた。
【人へのお礼に書いたものなど】
『一等星のあなた』
印刷:ちょ古っ都製本工房
跡日
……跡日好きの人の誕生日祝い兼自カプ書いてほしさのすり寄りに書いた。
好きなだけ思い浮かべられる金持ちっぽい描写を入れられたのが楽しかったけど、実際金持ちの知見がないので大変だった。
タイトルは「あなたがいっとう眩しい」みたいなモノローグと一等星をかけたシャレです。
『はつこいのちょう』
コンビニプリント(セブン)
ネイル着想
幸真
……友達が、幸真概念ネイルをした時蝶のパーツをいくつか載せたら1つが落ちてしまって悲しかった、というエピソードを教えてくれたところから着想を得た。
ジョジョ・ラビットという映画で「お腹の中で蝶が羽ばたく」ということわざ(なのかな?)が出てきてそれもずっと使いたかったので、蝶が取れる=飛んでいったという発想に繋がった。
ネイルをしていた友達に許可をとってから書き終わるまで1年かかってしまったけど少年らしくやきもきする姿が書けて良かった。
『大きな檸檬の木のしたで』
コンビニプリント(セブン)
表紙お礼
幸真
……某pから始まる名前の雑誌で描き下ろしアニメ絵が公開された。レモンの蜂蜜漬けを食べている幸村と真田の幼年期。衝撃だった。
そこからインスパイアされた話。
『最強の2人になる前の話』
web
表紙お礼
マヴェグス
……カップリング指定
タイトルは「最強のふたり前夜」にすればよかったな。
TGM見てからTGでのマーヴェリックとグースの関係性にときめくようになった。三十数年ごしの続編で出てくる旨み成分。
カップリング指定を受けた時、相談しながら設定を詰めたので(文章には反映してないけど、マーヴは空に近いからという理由で2段ベッドの上を使いたがるに違いない!とか)とんとん拍子に書けて楽しかった。
『ナイフ』
web
表紙お礼
幸真
……「喧嘩する幸真」という指定
「入院中の幸村を見舞いに来た真田がお前ばかり不幸ぶるな!と叱咤する」という設定じたいは数年くらい持っていたので使えて嬉しい。肩の荷が降りた感じ。
病気になると自分のことばかりになってしまうし、サポートする周囲の人も消耗してつい強めの言葉使ってしまうことがあるよなあということを頭に置いた。言葉は時にナイフのようだね。
この話を書きながら宮沢賢治「永訣の朝」の「うまれで くるたて こんどは こたに わりやの ごとばかりで くるしまなあよに うまれてくる」という一節を思い出した。
まあ幸村くんの病気はどんなものか不明瞭なので命に別状があるのかもよくわからないのだけど(本人が入院中に生とは……死とは……となったって作文に書いてるようだし死について考えたことはあるんだろうな)。
『白』
印刷:コンビニプリント
二次創作漫画着想
幸真
……フォロワーさんの二次創作漫画(https://twitter.com/nrpiyo/status/1441000227708698628?s=46&t=Bd-bCoPTnA_7UAsSI1N16w)を許可をとって文字にしてみた、という話。
元が谷川俊太郎さんの「色」を引用した作品だったので白に絶望を感じる幸村くんの心を想像するのが楽しかった。
ちょうどこれを書いた前後に入院病棟を訪れる機会があったのだけど、白というより灰色だった。施設によるか。
個々のページ数が多くないのでなんとなくパッとしないがそこそこの冊数は出しているので自分にしてはよく書いた年だと思う。
来年は生き急がない程度に書きたい。あと装丁モリモリで完売した本の再録本出したい。モリモリも何も装丁のその字すらわかりませんが……。